設立趣旨

日本は世界でも有数の写真大国であり、写真が商業的に利用されているほか、高齢者を中心に数多くの写真愛好家が趣味としての写真を楽しんでいます。また最近のデジタルカメラ、携帯付きカメラの普及に伴い、若者を中心にコミュニケーションの手段としても写真が利用されています。このように写真人口が増加する中、写真を楽しむことにより集中力が増加する、前向きになるなど、写真が心身に良い影響を与えることが報告され始めています。しかしながら音楽や絵画などが心や体に良い効果をもたらすとして認知され、日本でも医療、福祉現場などで芸術療法として広く実践されているにもかかわらず、セラピーとしての写真の利用はあまり実践されておらず、また、その効果についてもはっきりと立証されておりません。

 

私たちは日常生活でストレスを抱えている一般の人たちのみならず、こども病院院内学級や緩和ケア病棟、養護学級、フリースクール、高齢者施設など、様々な人たちに写真を楽しんでもううワークショップを実施してきました。すると、継続的に参加するうちに、集中力が増して前向きになる、自立心が向上する、自己表現や他人とのコミュニケーションがうまく出来るようになる、うつ状態が改善するなど、写真がもたらした良い影響と思われるケースにいくつも出会いました。

 

私たちは人を癒したり元気にする、人間的成長を促して人の生きる力を育むなど、セラピーとしての写真の可能性を強く感じています。私たちが提唱する写真療法は音楽療法や他の芸術療法と同じく、対象者が自分で癒され元気になってゆくセルフヒールのプロセスであり、写真を楽しむことにより、結果として心や体に良い影響をもたらすものです。そしてそのプロセスを支援するのが、訓練を受けたファシリテーターと呼ばれる講師役です。

 

今後は活動を更に広域化し、全国で同様の活動をしている人たちとネットワークを組むことより今まで以上に充実した社会的活動を可能にすべく、写真療法の確立と普及に向けて、日本写真療法家協会を設立します。そして写真を楽しむことが心身にもたらす良い影響について専門家らと共に研究、発表し、写真が心身にもたらす良い影響を利用した体験事業をこどもからお年寄りまで広く一般社会、特に医療、福祉、教育現場において普及させ、写真療法を実施する写真療法家や写真ボランティアを育成、支援してゆくことにより、新たな写真文化を構築し、人々が肉体的、精神的、社会的に健康で真に輝いて生きてゆくことができる仕組み作りに貢献してゆきたいと考えます。 

 

                   特定非営利活動法人日本写真療法家協会

                          設立趣意書より